外国為替市場に影響を与えるイベント
最終更新日: 2023/12/11
外国為替相場の変動には様々な要素が影響を与えているため、一つの要因を特定して挙げる事は出来ません。しかし、そのようななかでも特に影響度の強い重要なイベントはいくつかあるため、ここではFX取引を行う上で抑えておきたい経済イベントについてご紹介します。
*価格のイメージ図
政治的イベントの重要性
政治的なイベント、なかでも選挙はその国の通貨の動向に大きな影響を与えるイベントの一つです。支配政党が変われば、その国の様々な前提も変わることになるため、市場は選挙動向に一喜一憂してボラティリティが上昇する一因となる事もあります。近年では、ユーロ圏の各国におけるユーロ残留派と離脱派の各政党による争いや、独裁的な政権を敷いているエルドアン大統領の去就が掛かったトルコの大統領選挙等が話題になりました。また、4年に一度行われる米国の大統領選挙は、年間を通したキャンペーンとして市場へ影響を与えています。
経済指標の重要性
各国の経済指標も重要な情報です。為替レートの変動は、各通貨の発行国の経済状態の変化による影響を大きく受けます。外国為替市場の参加者は、各国で毎月発表される各種の経済指標の結果を確認しながら取引を進めています。これらのデータは弊社のプラットフォームにある経済カレンダーでいつでも確認いただくことができます。ここからは、特に注目度の高い経済指標についてご紹介いたします。
- 政策金利 - 各国の中央銀行によって決定される金融政策のツールの一つで、為替レートへの影響力が最も大きい要素の一つです。通常は、金利が引き上げられれば、通貨の上昇材料に、金利が引き下げられれば、通貨の下落材料となります。 最近では、2022年に米国が年を通して4%以上も金利を引き上げ、米ドルの騰勢を強まった例があります。
- インフレ率 インフレ率は物価の変化を示す経済指標で、各刻の金融政策への影響力が強く特に重要な指標の一つです。インフレ率には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、消費者レベルでの物価の動向を示す、消費者物価指数(CPI)で、インフレ率と言えばこちらを指すことがほとんどです。もう一つが、卸価格の動向を示す生産者物価指数(PPI)で、消費者物価指数の先行指標として意識される傾向があります。一般論として、インフレ率の上昇度合いが強まると、中央銀行はその上昇を抑えるために利上げ(金融引き締め)を行い、その逆であれば利下げ(金融緩和)を行います。近年では、「インフレターゲット」という政策手法のもと、中央銀行がインフレ率を金融政策を行う際の直接的な判断指標としているケースも多く、その重要性はより高まっています。
- 失業率 - 雇用情勢はその国の景気動向を色濃く反映する要素です。そのため、雇用関連統計の重要度は高く、多くの国で統計としてまとめられている失業率は雇用関連統計のなかでも横の比較が行いやすいという点から重要度の高い指標であると認識されています。また、外国為替市場を含めた金融市場全体が注目するイベントとして、毎月第1金曜日に発表される米国の雇用統計があります。雇用統計では、失業率はもちろんですが、雇用者数の実数の動向を測る指標として非農業部門雇用者数(NFP)という指標が注目されます。前月と比較した新規の雇用者数の増減を示す指標で、月初という早い段階で前月分のデータが発表されるという性質上、シンクタンク等による予想値と実際の発表値との乖離が大きくなることも多く、発表後の米ドル相場を中心にボラティリティが高まりやすいという特徴もあります。
- センチメント調査 - センチメント調査は、さまざまな機関が景気動向等についてのアンケート調査を行い、その結果をまとめて発表する指標です。代表的なものとして、将来の個人消費の動向を示す指標である消費者信頼感指数や、景気の先行指標として注目される購買担当者景気指数(PMI)等があります。また、4半期に一度日銀が発表する日銀短観は、代表的なセンチメント調査の一つです。ファンダメンタルズ分析を重視するFXトレーダーは、通常、将来の経済成長の指標としてセンチメント調査を参考に取引を行っています。
- GDP(国内総生産) - GDPとは計測期間中に生産された新たな付加価値の総額で、その国の経済規模を示した指標です。統計ではその実額と前期比での成長率とが発表されますが、注目度が高いのは成長率の数値です。また、計測の方法によって名目GDPと実質GDPという二つの数値があります。前者は物価の変動を考慮しない数値で、後者は物価の変動を考慮にいれた数値となります。過去から現在に至る経済規模の動向を相対的に評価するためには、物価変動は重要な要素であるため、一般的には物価変動を考慮した実質GDPがより重要であるという認識が持たれています。