FX取引の基礎知識

知っておきたいFX用語集

最終更新日: 2024/08/11

FX取引では独特な用語が多くあります。この章ではFX取引を行う上で覚えておきたい様々な用語を紹介します。

まず、外国為替取引の基本を確認しておきましょう。外国為替取引は、「外為」や「FX」とも呼ばれています。取引をする際に指定する銘柄を通貨ペアと呼び、EUR/USD(ユーロ/米ドル)、USD/JPY(米ドル/日本円)、GBP/USD(英ポンド/米ドル)などのように、二つの通貨を並べた形で表記されます。このことからもわかるように、外国為替取引は二つの異なる国の通貨を交換(両替)する取引です。この外国為替取引を利用した金融商品がFX取引ですが、FX取引を行う上では普段の生活ではなじみのうすい独特な用語が多くでてきます。有効な取引戦略 を築くためにも、これらの用語について理解を深める必要があります。

基本的な用語

まずは、FX取引でよく使われる基本的な用語をご紹介します。
  • ピップス(pips) - 損益の計算を行う際等に使用する単位です。対円通貨ペアとそれ以外の通貨ペアで基準が異なります。対円通貨ペアは、1pip=0.01、それ以外の通貨ペアは、1pip=0.0001と定義されています。例えば、米ドル円が130.00円から130.50円まで動いた場合、50pips動いたことになります。ピップスの具体例はこちらをご覧ください。
  • ビッド(bid) - トレーダーが売ることができるレートです。同時に、このレートはFX取引業者のようなブローカーがトレーダーから買うレートでもあります。
  • アスク(ask) - トレーダーが買うことができるレートです。Bidと同様、ブローカーがトレーダーに売るレートでもあります。BidとAskの差額(スプレッド)がブローカーの収益源ともなるため、通常はBidがAskよりも安いレートで提示されます。
  • スプレッド - プラットフォーム上でトレーダーに提示されている売値(Bid)と買値(Ask)の差額をいいます。また、スプレッドの状態から市場の流動性を測ることもできます。一般的に、同じ通貨ぺアのなかで、スプレッドが広がっている時間帯は相対的に流動性が低い状態であり、反対にスプレッドが狭い場合は流動性が高い状態にあるといえます。スプレッドが広く流動性が低い状態の時には、スプレッドが狭く流動性の高い状態に比べて、取引を行う上でのリスクが高まるため注意が必要です。
  • ベースカレンシー(基軸通貨) - 通貨ペアの表記の中で左側にある通貨です。USD/JPYを例にとれば、USDがベースカレンシーとなり、取引を行う際の「売り」「買い」の指示の対象となります。
  • クォートカレンシー(決済通貨) - 通貨ペアの表記のなかで右側にある通貨です。USD/JPYを例にとれば、JPYがクォートカレンシーとなり、ポジションを決済したときに増減する通貨となります。
  • レバレッジ - 「てこの原理」という意味を持つ言葉で、FX取引においては実際に拠出した金額よりも大きな規模の金額の取引を行えることを言います。通常、レバレッジという言葉を使う際は倍率で表現をします。例えば、40,000円の証拠金を拠出してで、400,000円分のUSD/JPYの取引を行った場合に、「レバレッジ10倍の取引」という表現をします。レバレッジを効かせることで、資金効率の高い取引を実現することができますが、その反面発生する可能性のある損失の額も大きくなります。レバレッジを効かせた取引を行う際は、リスクとリターンのバランスを十分に認識する必要があります。

金融市場に関する用語

外国為替市場を含む金融市場でも、多くの独特な用語が使われています。これらの用語もFX取引を行う上では必ず覚えておきたい用語です。
  • 強気相場(ブルマーケット) - 相場にとって良い材料が出るなどして、トレーダーが強気になった状態です。このような状態になると、買い注文を行うトレーダーが増え始め、価格は上昇傾向が強まります。
  • 弱気相場(ベアマーケット) - 相場にとって悪い材料が出るなどして、トレーダーが弱気になった状態です。このような状態になると、売り注文を行うトレーダーが増え始め、価格は下落傾向が強まります。
  • ブローカー - トレーダーや金融機関が取引を執行する際に仲介する業者を意味します。
  • FRB(Federal Reserve Board) - 日本語では連邦準備理事会と訳します。米国の経済活動を統制する中央銀行制度の中枢で、米国の主要都市に散在する連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)を統括します。年8回行われるFOMC(連邦公開市場委員会)という会議で、米国の金融政策の方針(金利の引き上げや引き下げ等)を決定します。FOMCは、その決定事項が基軸通貨である米ドルだけではなく、世界経済へも大きな影響を与えるため、全ての金融市場にとって最も注目されるイベントの一つとなっています。
  • GDP(国内総生産) 一国の経済活動の総和であり、その国の経済全体の健全性を反映するものです。
  • インフレーション - 国や地域の経済における財やサービスの価格の上昇率。 インフレ率は、その国の金融政策の動向に直接的に影響を与える指標でもあり、その結果は為替市場だけではなく様々な金融市場に影響を与えます。
  • ボラティリティ - 金融商品の価格の変動性を意味しています。値動きが大きければ大きいほど、その市場はボラティリティが高いとみなされます。ボラティリティの高い市場は、相場の先行きが見通しにくいためリスクの高い状態であるといえ、その市場のリスク度合いを測る指標としても利用されます。また、値動きが大きいということは収益機会が多いという事も意味するため、経験を積んだトレーダーの中にはボラティリティの高い市場を選好するトレーダーもいます。ボラティリティの高い市場で取引行う際は、十分なリスク管理戦略を練る必要があります。
  • 金利 -金融機関が資金等の貸し出しを行う際に設定されるものです。一般的には、その国の中央銀行が経済情勢等を勘案して金利水準を制御しており、通貨の価格にも大きな影響を与える要素です。一般的には、その国の金利水準が上昇する局面では通貨価値も上昇傾向を強め、金利水準が下落する局面では通貨価値も下落傾向が強まります。外国為替取引においては、二つの国の通貨が関与するため、取引を行おうとしている通貨ペアの対象となる二つの国の金利水準を相対的に評価する必要があります。
 

取引高上位の通貨の国/地域の中央銀行は、それぞれ以下の政策金利を設定します。

  • 米ドル:FF(フェデラルファンド)レート
  • ユーロ:主要リファイナンス・オペ金利
  • 英ポンド:Bank Rate
  • スイスフラン:3ヵ月物LIBOR誘導目標金利
  • 日本円:政策金利残高金利

テクニカル指標や経済指標

相場の動向を予測する分析手法としては、大きく分けてテクニカル分析とファンダメンタルズ分析とに分けることができます。テクニカル分析はチャートのパターンや傾向性から値動きを予測する手法で、様々なテクニカル指標を参考に行う事が一般的です。テクニカル分析は長期的な予測を行う事も出来ますが、主に短期的な値動きの予測で利用することが多いようです。一方でファンダメンタルズ分析は、それぞれの国の経済指標等を通してその国の経済状態を分析して、中長期的な相場の流れを予測します。この章では相場分析の基礎になる主要なテクニカル指標と経済指標を紹介します。弊社のプラットフォームでは、経済カレンダーで重要な経済指標等の発表日を簡単に確認できます。また、リアルタイムに更新されるチャートで、多くのテクニカル指標を利用いただけます。

  • RSI(相対力指数) - その銘柄の「買われすぎ」・「売られすぎ」の状態を示すテクニカル指標で、指標の計測期間であるパラメーターは、開発者であるJ.Wワイルダーが推奨する14日間を使用するのが一般的です。この指数は1から100%の範囲で推移し、過去から現在にいたるまでの期間のなかでの相対的な相場の強弱を教えてくれます。
  • 移動平均線 - 指定した期間の価格の平均値を線上に表現した指標で、もっとも多く利用されるテクニカル指標の一つです。平均値をとる期間の設定値としては、フィボナッチ数(3,5,8,13,21,34,55等々)の中から選ばれるケースが多いようです。
  • MACD(移動平均収束拡散手法) - 移動平均線を応用したテクニカル指標で、MACD・シグナルと呼ばれる二本の線と、それらの間隔を示す、ヒストグラムと呼ばれる棒グラフからなります。MACDには様々な分析手法がありますが、MACDとシグナルの関係性を利用したものが最もシンプルな利用法であるといえます。具体的には、MACDがシグナルを下から上に追い抜いたタイミング(ゴールデンクロスといいます)を「買い」のサイン、反対にMACDがシグナルを上から下に追い抜いたタイミング(デッドクロスといいます)を「売り」サインと捉える方法です。MACDを算出するには(短期EMA、長期EMA、シグナル)の3つのパラメーターを設定する必要がありますが、この指標の開発者であるジェラルド・アペル氏が推奨する(12,26,9)の組み合わせが最も多く利用されているようです。
  • CPI(消費者物価指数)- 財やサービスの価格の動向を示すインフレ動向を示す経済指標です。各国の統計局がまとめた数値が多くの場合月次で公表されます。その国の金融政策へも大きな影響を与える指標で、特に注目度の高い経済指標の一つです。
  • PMI(購買担当者景気指数) - 製造業やサービス業等、各業界の景況感を示す経済指標です。PMIは、市場の状況を「上昇」、「下降」、「安定」に分類したうえで、それらの結果を指数化して発表されます。製造業のPMIでは、材料の仕入れ状況等が確認できることもあり、景気の先行指標として注目を集めることがあります。
  • 金融政策決定会合 - 各国の中央銀行が定期的に行う金融政策を決める会議です。この会議で決定される金融政策の方向性(利上げ等を行う金融引き締め、利下げ等を行う金融緩和)は、外国為替市場をはじめとしたあらゆる金融市場に大きな影響を与えます。なかでも、米国の中央銀行にあたるFRBが行うFOMC、ヨーロッパの中央銀行であるECBが行うECB理事会、日本の中央銀行である日本銀行の日銀金融政策決定会合等は、管轄する地域の経済規模の大きさや、影響を与える通貨の取引量の多さから、特に影響力のあるイベントだといえるでしょう。

その他の重要な取引用語

これまでにご紹介した用語の他にも、FX取引を行う上では覚えておきたい用語はたくさんあります。以下ではそれらの内で特に重要なもののいくつかをを紹介します。

  • 逆指値注文(ストップロスオーダー) -価格を指定する注文の内で、発注時点の価格に比べて不利な価格を指定する注文です。例えば、現在レートが135.00円の時にUSD/JPYの「売り」注文をする際、現在レートよりも安い134.00円で注文するような使い方をします。一般的には、思惑と反対の値動きとなった際に、損失を限定する目的で利用されることが多い注文です。
  • 指値注文(リミットオーダー) - 価格を指定する注文の内で、発注時点の価格に比べて有利な価格を指定する注文です。例えば、現在レートが135.00円の時にUSD/JPYの「売り」注文をする際、現在レートよりも高い136.00円で注文するような使い方をします。相場が現在よりも有利なレートまで変動すると予測している際などに利用する事が一般的です。
  • ファンダメンタルズ分析 - ファンメンタルズとは日本語で経済の基礎的要因と訳されます。トレード対象資産が関連する国・組織等の経済状況や政治的な状況等を分析して、価格の動向を予測します。そのため、一般的にはファンダメンタルズ分析による相場予測は中長期的な見通しにたったものとなることが多いようです。
  • テクニカル分析 - チャートの形状やパターンを分析して相場を予測する分析手法です。移動平均線やRSI、MACD等のテクニカル指標を使う方法のほか、フィボナッチ数を利用して価格水準の目途を付ける方法等、様々な手法が利用されています。分析する期間も短期から長期まで対応可能なため、テクニカル分析を中心に取引を行うトレーダーも多いようです。また、視覚的にトレードポイントを認識できるため、FX取引の初心者でも取り組みやすい分析手法です。
  • ドルストレート - USDを含んだ通貨ペアの総称です。米ドルは長らく基軸通貨として外国為替取引の中心に位置づけられており、外国為替取引の舞台である銀行間市場での取引も主にドルストレートの通貨ペアによるものとなっています。ドルストレートのなかでも、ユーロとのペアである(EUR/USD)は外国為替取引のなか最も大きなシェアを誇る通貨ペアとなっています。
  • クロス通貨ペア - USDを含まない通貨ペアの総称です。銀行間市場では、米ドルを含まない通貨同士の取引を行う際は、通常取引を行いたい通貨のドルストレートペアの価格を掛け合わせて(クロスして)算出しており、このことからクロス通貨ペアという名称が生まれました。例えば、USD/JPYが136.00で、EUR/USDが1.0800で取引されているとき、EUR/JPYの価格は136.00×1.0800で146.88が提示されることとなります。

なお、ここで挙げた用語は、FX取引を行う上で知っておきたい基本的な用語のほんの一部で、このほかにもいくつもの重要な用語があります。Plus500証券のウェブサイトでは、それらの用語の他、最新の市場ニュース等、取引に役立つ情報をご覧いただけます。

この記事は一般的な情報を提供するものであり、お客様の個人的な状況を考慮したものではありません。